スミタス小説家を買う

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スミタス小説「おひとりさま、家を買う」(最終回)

スミタス小説「おひとりさま、家を買う」(最終回)

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中古住宅が売買されるまでには、いくつものストーリーがあります。売主家族、買主家族、不動産業者やリフォーム業者など、売買に関わる人たち全てに日々の生活があり、人生があり、考えや思いもさまざま。

そんな、家の売買にまつわる物語をお届けするシリーズ。
第2弾の主人公は、東京の独身OLで実家暮らしをしている30代半ばの“私”です。

周囲に流されて始めた婚活を辞め、自分のやりたいことをやると決めた“私”。

昔からの夢だった“カッコイイ”自分の家を持つことや、憧れの北海道で暮らすこと、趣味のサーフィンやスノーボードをもっと楽しむこと、ペットを飼うことetc…に思いを馳せ、札幌で中古マンションを購入することを決断します。

中古物件に強く建物診断やリフォーム・リノベーションなどのサポートまでをワンストップで請け負ってもらえる不動産関連企業と出会えた“私”は、東京に居住しながら、札幌での家づくり計画を進めることに。

家族間の問題やさまざまな困難や不安に悩みながらも、ひとつひとつ乗り越え、とうとう理想の家を手に入れた“私”は…。

(最終回)Best Friend Forever

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DVDやCD、それから本。趣味関連のものはあらかた段ボールに詰め終わった。お皿や生活雑貨、洋服の類も順に片していくとして…。

ふと、段ボールの中のアルバム数冊が目に止まった。思わず手に取ってナンバー順にパラパラとめくってみる。

引き渡しの日の、まだどこかよそよそしい感じもするピカピカの部屋の内観、引っ越しを手伝いにきてくれた両親とリビングで撮った記念写真。父が撮影してくれた担当者さんとの2ショット。ようやくお迎えにいけた猫が初めてこの家に来た日の様子を連写したもの。

札幌で出会った同僚たちや、趣味の映画サークルのメンバーとあちこち出かけた先の思い出。何ヶ月も悩み、清水の舞台から飛び降りるような気持ちで買ったお気に入りの椅子とそこで昼寝をする猫。長期の休みになるたびに遊びにきてくれた姪や甥たちが1年ごとに成長していく様子。

すっかり北海道が気に入った両親は、「私がしっかりやっているか様子を見る」ことを口実に、暇を見つけてはこの家に滞在し、あちこちを観光して回っている。今や私より札幌の街や道内の観光地に詳しい彼らが撮り収めた絶景の数々。

アルバムには、この家を買った日を皮切りに、私が札幌で歩んできた毎日が刻まれていた。手を止めることなく引っ越しの作業をしていた私が、ふいに真剣に何かに集中しているのを悟って、“相棒”がひざに乗ってきて、アルバムと私を不思議そうに交互に見つめる。

「今見ると、この写真のときよりさらにずいぶん大きくなったんだねぇ。最初から君は大きい猫さんだったけどね」
猫に語りかけながら、この家でこの仔と過ごしたさまざまな思い出が一気に蘇った。毎日のごはん、トイレのしつけ、お気に入りのおもちゃ。私が残業で帰りが遅くなると、よくヘソを曲げていたこと。でも朝方になる頃には私のベッドにもぐりこんできて仲直りしたこと。

「新しいお家に行く前にも、また一緒に写真を撮ろうね」
そう話しかけて、猫をひざからおろし、私はまた引っ越し作業の続きを始めた。

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1週間後、私は“私の家”を離れる。

新たに買主さんとなる人は、以前のこの家の売主さんのように、ここを事務所兼自宅にするのだそう。

建物の年数はもちろん私が買った時よりさらに経ってしまっているのだけど、それでもやっぱり抜群に立地が良いこと、そしてリノベーションをして室内はどこもまだまだキレイなこともあって、思ったよりずっと希望に沿った価格でこの家を売ることができた。

もちろん、売却に関することは、私が全幅の信頼を置いている担当者さんが寄り添ってくれたからこそ、良い形で手放せることになったのだけれど。

それにしてもこの家を買うときは、まさかこの家を離れる日がくることは想像もしていなかったけれど…人生は本当に何が起こるかわからない。
私は来月結婚する。

そもそもの始まりは、婚活を辞めて「1人で好きなように生きていく!」と決めたことが、札幌で生活することになったきっかけだった。でも躓きながらも一歩を踏み出し、また一歩、また一歩と進み、1人で生きていく力や自信が身に着いたら、なぜか不思議なもので自然とご縁があったのだ。

この家を買うまでにも困難はたくさんあって、いろんなことを学んだけれど、札幌での生活も本当にひとつひとつが勉強だった。はじめての一人暮らし。寒冷地での暮らしやルール。東京での実家暮らしの頃から考えると我ながらたくましくなったものだと思う。

この家は賃貸にする方法なども考えたけれど、自分の気持ちを整理してみると「私がこの家を大好きで大切にしてきたように、誰かにも大切に住んでほしい」という思いが強いことに気づいた。パートナーとも話し合い、その他の事情などもいろいろ合わせて売却することに決めた。

内覧してくださった何人もの方が、この家を気に入ってくださって、自分自身が褒められているようで誇らしい気持ちにもなれた。買主となる方は、その中でも1番この家を大切にしてくれそうだったので安心してこの家を託せる。

家って不思議なものだなぁと思う。雨や風、寒さから自分たちを守ってくれるものであることはいうまでもないけれど、家族が集まる場所でもあり、ずっと家族を見守ってくれる家族の象徴でもある。でも時には、家族の喧嘩の原因にもなったり、誰かにとっての悩みの種にもなったりもする。

そこに住む人たちの雰囲気が変わったり、住む人が入れ替わると、同じ場所にある同じ建物でもどこか表情が変わって見えたりもして、以前内覧の時にも感じたことだけれど「家にも心があるのかな?」なんて思ったりもする。実際に自分の家を持って暮らしてみると、私がこの家を大切にしてきたその思いは、家にもきっと伝わっているような気がするのだ。

だから、この家とのお別れは決して残念な気持ちだけではない。私にとってこの家は、1番身近な友人のような存在だった。“友人”にとって恥ずかしくない自分でいるために、これまで頑張ってこれたし、離れ離れにはなるけれど、これからも“友人”が誇ってくれるような自分でいたいと思う。そしてお別れの瞬間まで、感謝の気持ちを行動で伝え続けるつもりだ。
「さて、次は水回りをもう一度ピカピカにしようかな」

「ありがとう」

窓は閉まっているけれど、外を歩く人の声が聞こえたのだろうか?
それともキッチンに置いてある最近調子の悪いラジオから?

 

柔らかで耳心地の良い、初めて聞くのにずっと慣れ親しんできたような、温かい声がどこかから聞こえてきた。(完)

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