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スミタス小説「おひとりさま、家を買う」(16)

スミタス小説「おひとりさま、家を買う」(16)

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中古住宅が売買されるまでには、いくつものストーリーがあります。売主家族、買主家族、不動産業者やリフォーム業者など、売買に関わる人たち全てに日々の生活があり、人生があり、考えも思いもさまざま。

そんな、家の売買にまつわる物語をお届けするシリーズ。
第2弾の主人公は、東京の独身OLで実家暮らしをしている30代半ばの“私”です。

周囲に流されて始めた婚活を辞め、自分のやりたいことをやると決めた“私”は、昔からの夢だった“カッコイイ”自分の家を持つことや憧れの北海道で暮らすこと、趣味のサーフィンやスノーボードをもっと楽しむこと、大きな犬を飼うことetc…に思いを馳せ、夢の実現に向かって行動を開始します。

再就職先や両親の反対など様々な問題にぶつかりながらも「札幌市内で中古マンションを購入してリノベーションする」というアイディアにたどり着いた“私”。中古物件に強く建物診断やリフォーム・リノベーションなどのサポートに手厚い不動産関連企業と出会い、紆余曲折を経て“自分の家”となる物件を決め、家づくりの計画を進めていきます。

そんな中、想像していないなかった新たな家族間の問題が発生。“私”の兄夫婦との同居に向けて実家をリフォーム予定の母が、突然“私”との同居を希望したため、“私”は当初の予定を変更し、家族が長期間滞在でき、行き来しやすいような家へとリノベーション計画を変更することに。

“私”はふと訪れたペットショップで、未来の相棒、ノルウェージャンフォレストキャットの男の子と運命的な出会いを果たします。家を買うと決めた日から、少しずつ「臨機応変」が板についてきた“私”。猫との暮らしに向けて、母と相談し合う日々を過ごしていると、ある日突然、父が小さな仔猫をもらい受けてきて…?

(第16回)母の思い、母の決断

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私の新しい家と、私の実家。2つの家づくりは問題なく進んでいる。
…といっても、実家の方に関しては、相変わらず家族の気持ちが今ひとつしっくりいっていないというか、やっぱり一つにはなっていないのだけれど…。

何度も札幌に足を運ぶことはできないので、基本的にはお任せで進めてきた私の家は、間もなく完成の日を迎える。

以前内覧して見てきた家から、1度骨組みだけの「スケルトン」状態になった家となり、今は私のイメージする家へと変貌を遂げつつあるはずの私の家。設計図やリノベーション後のイメージ図を見ながら、同時進行で家具選びもデザイナーさんやコーディネーターさんと進めてきた。

家具選びに関しては、まだいくつか迷って決めていないものもある。猫ちゃんとの暮らしに向けて変更することにしたものや、猫タワーなど新たに配置することにしようとしているものなどもあるので、まだまだ“やること”はたくさんあるのだけれど…。

父による「母を引き止める作戦」によって、新たに実家の家族の一員となった仔猫。両親も私も毎日この仔にてんやわんやなのだ。

基本的な面倒は母が見ているのだけれど、仔猫の間は想像以上につきっきりで見守りが必要なことも多く、なにせ動物を飼うのが初めての我が家では、仔猫の一挙手一投足に、ネット検索が必要なのだった。「猫もくしゃみをするのね」「この鳴き方はどういうものなの?」。仔猫が何かの仕草をする度に、我が家のスマホはフル稼働なのだった。

それでも母はイキイキしていて楽しそうだし、父が目を細めて仔猫に向ける眼差しはこれまでに見たことのないような優しいものだった。私も、これからは猫のいる生活になるので勉強になるし、何より癒やされる。

そして何より仔猫を囲んでいる間だけは、少なくとも家族はとっても上手くいっている。会話もスムーズだ。よく「子は鎹(かすがい)」なんていうけれども、ペットもそうなのかもしれない。

このまま両親が仲良くしてくれることが理想だけれど、それぞれの考えに変化があったのかはよくわからない。家族会議みたいなことをした方が良いのではないかと思っているのだけれど、兄は「喧嘩になるから、わざわざ話し合いみたいな場を設けることはもうしない」と言うし、父も母も自分たちから何か家づくりについて語り合うこともない。

私自身も、家族の気持ちがバラバラのまま札幌へ引っ越すのは避けたいなとは思いつつ、毎日に追われたり、何かと自分に言い訳をして理由をつけては、自分からは動き出せずにいた。

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そんな日々に変化をつけたのは、やはり母だった。

引っ越しに向けて、私が早めに飛行機の予約を取ろうとしている時だった。
これまではずっと往復で購入してきたチケット。今回は初めて片道の予約になる。

「私、当面はこちらに残るわね。あなたには勝手なことばかり言ってしまって振り回してしまって申し訳ないし、お父さんの思惑通りでもあるみたいですごく嫌だけれど…やっぱりこの仔が心配で…。でも引っ越しは手伝うわよ。だから私の分は“往復”で予約を取ってもらえるかしら」

母は気まずそうに言うけれど、私にとっては母の決断は嬉しいものだった。
両親が仲違いしたままなのは私が嫌だと思っていることは、母も気づいていたはずだった。

「そうなる気がしてたよ。引っ越しっていっても、家具は入っているから大掛かりなものじゃないし、こっちから持っていくものも洋服やちょっとしたものだけだし…そのうち遊びにきてくれるだけでもいいよ」

「なんだか不思議なものね。お兄ちゃんたちと一緒に暮らすと決まったときは、あなたもこの家にずっといるのだと思っていたし。まさかあなたが家を買うなんて想像もしていなかったのよね。

あなたが家を買うと決めなければ、私、どうしていたかな、って考えてたのよ。お兄ちゃんたちの考えに多少の不満はあってもやっぱりこの家で暮らし続ける選択ときっとしたはずよね。

それで、あなたが巣立っていくことや、この家や家族に変化が生まれることに一番戸惑っていたのは私だったのかもしれないって思ったのよ。ずいぶん勝手なことも言ったりやったりしてしまったわね…。

あなたや私の行動がなければ、あなたのノルウェー君とも出会っていないし、出会っていなければこの仔と出会うこともなかったかもしれない、と思うともっと不思議な気持ちよ。今ではこの仔のいない生活は考えられないもの」

母はずっと戸惑っていたのだ。この家を30年近く守り続けてきた母。私は自分のことだけ考えて札幌行きを決めてしまったし、その後も振り回されているな、とばかり感じていたけれど、母の気持ちの底にあるものまでは、考えてこなかった。

「家って、毎日の暮らしの中ではずっと同じ場所に同じようにそこあって、家族もずっと同じであるかのように感じるけれど、家も家族も成長したり年を取ったりするものなのよね。家族はメンバーが変わることだってあるし、家だって知らず知らず古くなる。変化がない訳ないのよね。なんだかようやくそういうことを受け入れられるような気持ちになったのよ」

母が、誰にいうでもなく仔猫をなでながらつぶやいた。

「あんまり、そういう話をきちんと聞いてやらなくてすまなかったな」
いつの間にかリビングにあらわれていた父もポツリと返した。

「札幌への引っ越しは3人で行こう。少しかわいそうだけれど、この仔は数日預けて。おまえの新しい“家族”にもあいさつしよう」

1人分の片道切符。2人分の往復チケットを予約して、いよいよ私の札幌での暮らしは目前となった。(続く)

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