スミタス小説家を買う

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スミタス小説「おひとりさま、家を買う」(4)

スミタス小説「おひとりさま、家を買う」(4)

中古住宅が売買されるまでには、いくつものストーリーがあります。売主家族、買主家族、不動産業者やリフォーム業者など、売買に関わる人たち全てに日々の生活があり、人生があり、考えも思いもさまざま。

そんな、家の売買にまつわる物語をお届けするシリーズ。
第2弾の主人公は、東京の独身OLで実家暮らしをしている30代半ばの“私”です。

周囲に流されて始めた婚活を辞め、自分のやりたいことをやると決めた“私”。
昔からの夢だった“カッコイイ”自分の家を持つことや憧れの北海道で暮らすこと、犬を飼うことetc…に思いを馳せます。

願いを実現させるために準備を始めた“私”は、「札幌市内で中古マンションを購入してリフォームする」というアイディアにたどり着き、両親にも宣言をします。

でも、レールに沿った人生を歩み、長く実家暮らしをしてきた“私”の話を、両親はまともには取り合ってはくれません。知り合いもいない土地での初めての一人暮らしや、生活を支えていくための肝心要、再就職などの問題が山積する中、“私”は両親との会話の流れから、まずは家の購入に向けて説得力のある具体的な話ができるよう、家を見つけることにしようと決めます。

さっそく、不動産探しからリフォームの相談までが可能な中古物件に強い業者を見つけ、“私”の家探しは一歩前へ進みそうなのですが…?

(第4回)数字との戦い!?

しどろもどろで要領を得ない私の話を、担当者が丁寧にすくい取ってくれたおかげで、なんとかまずは予算に合ったいくつかの物件情報をメールで送ってもらえることになった。

物件自体はインターネットでも探せるけれど、細かい情報までは分からないことが多い。そもそも一人暮らしも引越しもしたことがなければ、札幌の住宅事情や地域情報、周辺環境も分からない私にとっては、間取り図や築年数だけを見ても、ほとんど何もかもがちんぷんかんぷんと言ってもいいくらい。

送ってもらった物件情報にはリフォームが必要な箇所や、近隣の類似物件の成約事例や周辺の商業施設なんかも書いてあって、とっても参考になる。ある程度目星がついたら一度休暇を取って札幌まで行ってこの目で家を見て決定するとして…。

それにしても、物件資料を眺めていると金額だけがやけにリアルに目に飛び込んでくる。資料にある活字の中で1番大きなフォントが使われているから、っていうのが理由ではもちろんなくて…。私の心理的な問題だ。

送ってもらった資料は、予算の範囲内の物件だけを集めてもらっているのだけれど、数字を見ていると、頭金やローンの問題、リフォーム資金に家具家電購入代…使うお金のことを考えないわけにはいかなくなり、徐々に不安感に襲われる。

意気揚々と「家を見つける!」「リフォームする!」と張り切っていたけれど、いざ数字を目にすると、いろんなことが一気に現実的になってきて、いかに今までが夢見心地だったかを実感する。

「賃貸で家賃を一生払い続けるよりマイホームを持った方が結果的にお得!」なんて30代向けの女性誌ではよく目にするし、実際にそれはそうなのかもしれないけれど、あくまでも働き続けていける場合なんだよな、としみじみ思う。

今の会社はギリギリまでフルで働いていたいけど、そうすると就職活動がうまく進められない可能性もある。そして無職だとそもそも住宅ローンを組むのが難しいはず。一時的に無職になる場合、どれくらいの頭金が必要なのかは一応調べたけど、私が支払える予算を大幅に超えてしまう。

「順番間違えたかな…」

勢いだけではうまくいかないのは分かってはいたけれど、今一度、目標達成までの筋書きを立てていかなくちゃ。でも一度悩み出すと全部うまくいかない気がしてしまう。

家を買うと決めてから今日までの数日間。1人で煮詰まりすぎて、よっぽど思いつめた表情で過ごしていたのか、久しぶりに同期からランチに誘われた。

彼女とは、他部署ながらも入社当時からの仲良し。新入社員時代には、お互い社会の厳しさを目の当たりにして慰めあい、ボーナスが出るたびに旅行にも出かけた。さらにいうと、1年ほど前までは“婚活仲間”でもあった。もっとも、彼女は1年前に活動を終えて数ヶ月後には花嫁になる身なのだけれど。

「とりあえず、深刻な病気とかじゃなくて良かった」
彼女の第一声だ。

私がこれまでの経緯や思いを一気に語ると、あまりにも突飛なイメージを持ったのか「北海道」というキーワードには一瞬驚いた表情を見せたけれど、終始頷きながら熱心に聞いてくれた。

「それで、お金のことを考え出すとなんか怖気付いちゃって…やっぱり再就職を先になんとかしなきゃダメだったかなぁって。そもそも、この考え自体があまりにも荒唐無稽なような気がしてきちゃって…。今なら、ただのちょっとした思いつきで終わらせて、引き返せるところにいるし…なんていう気もするし」
正直に不安を吐露した。

「荒唐無稽といえばそうかもしれないね…。でも長い付き合いだけれど、さっきの話を聞いていて、あなたが何かに対してそこまで熱心になる姿を初めて見た気がする。だから私は応援する。それに、就職の問題が目の前の悩みの種なんだったら、それはなんとかなりそうな気がするんだけどな」
彼女は、コップの水を一口飲み、ひと呼吸おいて続ける。

「実はさっき“北海道”って聞いて、おっ!と思ったんだけど、うちの系列会社の札幌営業所に出向願いを出してみるっていうのはどうかな? うちの課でこの前、ちょうど本体から各営業所に出向してくれる人を募ってるっていうような話題が出てたのね。人事の都合もあるし、希望通りになるかはわからないけど、せっかく長年真面目に勤めてきた社員だし、退職されるより良いっていう判断になるかもよ?」

「え?系列会社?…の札幌営業所?…っていうのがうちの会社にあるんだっけ?」

彼女は「なぜそんなことも知らないの」と言いたげに呆れた表情を見せつつ、「就職活動と並行しながらでも良いと思うし、とりあえず上司とか人事とかに相談してみたら」と笑った。

さっそく今日の午後からも家を買うためにできることが増えた。
一つ一つ、少しずつでも不安を取り除いていけばいいのだ、と思う。物件探しの電話相談もそうだったし、一歩何かを前進させる時は1人で頭を悩ませているよりも、まずは誰かに話してみたり、行動してみたりすることが大切なのかもしれない。

両親へも「ある程度ちゃんと固まってから」なんて思っていたけれど、今までの経過と気持ちだけでもやっぱりきちんと聞いてもらおう。

そもそも両親は人生の先輩であり、「家を買った」先輩だ。戸建とマンション、新築と中古、4人家族と単身者、家を買った時代という大きな違いがたくさんあるけれど、何にも分かっていない上に常に考えが甘い私よりも、きっとたくさんの知恵があるはず。(続く)

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