スミタス小説家を買う

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スミタス小説「おひとりさま、家を買う」(6)

スミタス小説「おひとりさま、家を買う」(6)

中古住宅が売買されるまでには、いくつものストーリーがあります。売主家族、買主家族、不動産業者やリフォーム業者など、売買に関わる人たち全てに日々の生活があり、人生があり、考えも思いもさまざま。

そんな、家の売買にまつわる物語をお届けするシリーズ。
第2弾の主人公は、東京の独身OLで実家暮らしをしている30代半ばの“私”です。

周囲に流されて始めた婚活を辞め、自分のやりたいことをやると決めた“私”は、昔からの夢だった“カッコイイ”自分の家を持つことや憧れの北海道で暮らすこと、犬を飼うことetc…に思いを馳せ、両親に呆れられながらも夢の実現に向かって行動していきます。

試行錯誤の中「札幌市内で中古マンションを購入してリフォームする」というアイディアにたどり着いた“私”。中古物件に強く、建物診断やリフォームなどのサポートにも手厚い不動産関連企業を見つけ、物件探しをスタートしたものの、様々な物件情報を見ているうちにローンの問題に直面。後回しにしていた再就職先探しを同時進行しなければならないと気づきます。

幸いにも現在“私”が勤めている会社が関連企業の札幌支社への出向を募っていることが分かり、直属の上司の理解も得られ、後押ししてもらえることに。のんびりと現地で好きな仕事を探すつもりだった“私”ですが、まずは「家を買う」という一番大きな目標を達成することが優先事項だと改めて思うのでした。

そんな“私”の強い意志をようやく両親も少しずつ理解しはじめ…。

(第6回)いざ札幌!いざ内覧!

「それでは半年後には、札幌の支社の方に。そうですか、いやぁそれは本当に良かったです。再就職のこと、ずっと不安に思っていらっしゃいましたもんね。これで一つ不安が解消されたことになりますね。本当に良かった」。

物件探しのために電話をかけて以来、いきあたりばったりな私の「家を買う」相談にずっと乗ってくれている担当者は、自分のことのように「本当に良かった」と電話口で繰り返した。上司の推薦もあって、出向の話は無事にまとまり、とりあえず無職状態で家を買うことになはならなそうで私もまずは「本当に良かった」と思っている。

一人暮らしさえしたことのない私には何もかもが初めてで、いまだに“わからないことがわからない”状態。不動産屋さんと話をすることも初めてだから、普通だったら相談しないようなことまで私はあれこれ話しているに違いなかった。

それでも嫌な顔ひとつ見せず(実際にはまだ直接会ったことがないので、嫌な声ひとつ聞かせず、というのが正しいのだろうけど)私の状況もよく理解してくれて親身になってくれる。

「それで、物件探しも本格的に進めていきたいな、と思っていて。私がこの間気になっていると言ったところは確かもう決まってしまったとか。いいな、と思うところってやっぱりみんなもそう思うものなんですね…。あんなに早く決まってしまうとは思わなかったな」。

私が目をつけていて、書面を見せたら両親も気に入った様子だった物件があったのだけれど、連絡をしたらすでに契約済になってしまっていたのだった。

「そうなんです。昔と比べて中古物件自体の人気が上がっているんです。2018年4月に法改正があって、ホームインスペクションが積極的に活用されることになりました。昔のイメージより、安心して中古物件が売買できるようになったと感じている方が多いようです。

それに若い世代の方なんかは“中古”という言葉にほとんど抵抗を感じないみたいですね。住宅に限らずインターネットのオークションなんかで質の良い中古品を身の丈にあった価格で手に入れる文化が普通になったことも関係あるのかな、と個人的には思ったりしているんですが。

とはいえ、なかなか売れない中古物件もあって、でもそういうところは立地の問題だったり、築年数や状態の良し悪しと価格が見合ってなかったり…という問題が必ずありますのでね…。まずは僕自身が良いと思うところをやはりお勧めしたいので、どうしても人気物件になってしまいます。

ついこの間もタッチの差でお客様が購入を希望されていた物件が他の方に決まってしまったということがありました。営業トーク抜きに、良いなと思ったら早めに内覧されて、早めに購入の申込…と先手先手でいきたいところではあります(笑)」

担当者から「内覧」というキーワードが出てきて、思い至った。

「やっぱり内覧はしておいた方が良いですよね…?」

実は、もともとは内覧抜きで決めてしまっても良いかと思っていた。他の不動産会社と違って、私が相談しているこの会社は、1枚の用紙にびっしりと物件や設備の状態、周辺情報なんかも詳しく書いてある。写真もたくさん載せてくれているし…。

「そうですね…。遠方にお住まいの方で特に賃貸契約なんかだと内覧しないまま契約してしまう方も少なくはなかったりはするのですが、購入となると一生もののお買い物ですしね…。

後悔しないようにしていただきたいので、お仕事の都合がつくなら可能な限りはご自身の目で見て決められた方が良いかと思います。ちょうど先日ご希望されていた物件と似た条件のものをいくつかピックアップしているところなんです。もちろん内覧できるように手配をしますから、ご検討されてみてはいかがですか?」

後日、私はピックアップしてもらった物件の中から、いくつかの物件を見せてもらうことにした。ちょうど月内に3連休があったので、平日の1日だけ休みを取り3泊4日の物件探しの旅に充てることにした。

そう何度も足を運べるわけではないし、ある程度良さそうなところはすでに目星をつけてきたから、担当者も言っていた通り、良いと思ったら早めに契約をしてしまおうと思っている。

一生に一度かもしれない買い物だと思うと、この4日間で運命を決めてしまっていいのかな?とも少しだけ思ったのだけれど…。

「今このタイミングで出合った物件が縁のある物件と思えば良いんじゃない?」と明るい口調でお土産の購入希望リストを手渡してきた母に背中を押され、私は数年ぶりに札幌を訪れた。

旅行でしか訪れたことのないこの街で、私はこれから暮らしていくんだな…東京とは違う、湿気の少ない風を感じながら約束の時間まで街中を歩く。

ビル群や繁華街がコンパクトにまとまっていて、同じ区内でも住宅地の方になるとずいぶん雰囲気が変わるのだという。勤務地からは地下鉄1本で通えるのが理想だけれど、それはさすがに高望みかな?なんて最初は思っていたけれど、札幌では、都心までの移動に乗り換えなしの圏内でも私の予算に合いそうなところは意外とたくさんあるのだとか。
家そのものももちろん大切だけれど、この街自体にも早く馴染みたい私にとっては、街がコンパクトにまとまっているのは嬉しいことだった。

「初日くらいは観光気分でも良いよね」とガイドブックを手に話題の店で昼食を済ませ、お土産さんを覗いているとあっという間に担当者との約束の時間になった。

「はじめましてですけど、もう何度もお話ししているので、はじめてな感じがしませんね」。お互いに笑いながら挨拶をすませ、さっそく1件目のマンションに向かう。

物件情報を再読しながら、わくわくしているとレンガ調の建物が見えてきた。物件情報に載っている外観写真と似ているけれど、見たところ古すぎるようだし、ここは違うよね?

「着きました。それでは行きましょうか」。

何もかもが初めてづくしの私。外観は別にそんなに重視していなかったけれど、それでも写真の写り具合と実際の建物の見た感じとのギャップに少々の驚きを隠せないまま、初めての内覧は始まった。(続く)

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