スミタス小説家を買う

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スミタス小説「おひとりさま、家を買う」(9)

スミタス小説「おひとりさま、家を買う」(9)

スミタス

中古住宅が売買されるまでには、いくつものストーリーがあります。売主家族、買主家族、不動産業者やリフォーム業者など、売買に関わる人たち全てに日々の生活があり、人生があり、考えも思いもさまざま。

そんな、家の売買にまつわる物語をお届けするシリーズ。
第2弾の主人公は、東京の独身OLで実家暮らしをしている30代半ばの“私”です。

周囲に流されて始めた婚活を辞め、自分のやりたいことをやると決めた“私”。昔からの夢だった“カッコイイ”自分の家を持つことや憧れの北海道で暮らすこと、犬を飼うことetc…に思いを馳せ、夢の実現に向かって行動していきます。

様々な問題や悩み事にぶつかりながらも「札幌市内で中古マンションを購入してリフォームする」というアイディアにたどり着いた“私”は、中古物件に強く建物診断やリフォームなどのサポートにも手厚い不動産関連企業を見つけ、物件探しをスタート。周囲の理解も少しずつつ得られるようになり、内覧のため、ついに現地へ足を運びます。

予定していた3件の内覧を終え、売主側の事情や“家”そのものにも人間と同じように売主と歩んできた人生や感情のようなものがあると知った“私”。また、それぞれの物件に価格や利便性、周辺環境などの違いやメリット・デメリットがあり、迷いが生じます。

この中から決めるのか、もう少し他の物件を探してみるのか。果たして“私”はどのような決断を下すのでしょうか…?

(第9回)父からのアドバイス

スミタス

「だけど、離婚して手放される家っていうのも縁起が悪いんじゃないか?」

「あら、今は3組に1組の夫婦が離婚するとも言われているじゃないの。気にするのはナンセンスじゃないかしらね? それに縁起というなら、金銭問題で手放すっていうこの家だって縁起が良いとは言えないようにも思うけれど…」

札幌から東京の実家に戻り、両親に今回の旅の成果について報告した。もちろん話の中心は今回内覧してきた3件の中古マンションについて。売主さんに許可をもらって撮影した写真なども見せながら、説明するたびに、両親はあれこれ感想を言い出すのでなかなか話が進まない。

「だからといってこの最初に見たという築年数の古いマンションは設備なんかが心配だなぁ。価格も1番手頃だけれども、リフォームをするなら結局結構な金額になるんじゃないのかね」

父が1件めの物件に話を戻した。

「リフォームのだいたいの見込みも合わせて予算を組んだ結果、その物件も候補になってるのよ」
とはいえ私も実際に1件めの物件を見たら、あれこれ直したいところがたくさん出てきそうで予算オーバーしそうだな、とは思ったのだけれど…。

「1件めのマンションの場合は街中すぎるっていうのもなんだか騒々しいんじゃないかって心配になっちうわね。静かすぎるとそれはそれで寂しいのかもしれないけれど…。最終的に決めるのはもちろんあなただけれど、結局どれが1番気に入ったの?」
母が言う。

「うーん。印象だけだと最後に見たお宅なんだけれど…。売主さんご夫婦の感じも良くて…でも絶対にココ!っていうほどピンとはきてないというか…」

「あなた婚活の時もよく同じようなこと言ってたわね。『○○さんは趣味も性格も合いそうだけどビビッと来るものがない』とか『▲▲さんはとても好みのタイプなのだけど、絶対にこの人!と思えるものがない』とか」
母が笑いながら回想する。

「そうなの。これってやっぱり縁のあることだし、似てるんだよね…」
旅の途中も何度か思ったことだった。どこかに妥協点をみつけて突き進むのか、それともぴたっとハマる感覚が訪れるまで永遠に探し続けるのか…。でも婚活と違うのは、最終的な目標を絶対に叶えたい、というところだ。婚活は本当に結婚したいのかどうかも考えないまま漠然とこなしていたけど、家を買う夢は叶えるまで諦めたくない。

「育てていくものでもあるし、慣れるものでもあるんだぞ」
父が少々照れくさそうに切り出した。

どういうこと?という目で母が父を見る。

「夫婦もな、全ての夫婦がお互いにピンときてるもの同士かといったらそうとは限らない。母さんは正直、父さんが母さんを思うほど初めは父さんをそこまで好きじゃなかった気がする。でも30年以上夫婦をやっていくうちに、父さんの代わりはいない、っていう位の存在になったという自負がある」

何を言い出すのかと思ったら突然のノロケ話? 母が恥ずかしそうにうつむいてしまった。
…でもとても良いことを言っている気がする。黙って続きを待つ。

「この家を買う時もな、正直父さんはこの辺りに土地勘もないし、あんまりこの街が好きじゃなかった。本当は別の場所に家を建てることが憧れだった。でも予算やお前たちが通う学校なんかのことも考えて、結局今のこの場所にこの家が建ったわけだけど…。住み続けているうちにこの街のことも気に入った。引っ越しを考えている同僚に勧めるくらい、今は他のどの街より住みやすい街だとさえ思う。

家自体も最初は、『もう少しこうすれば良かった。やっぱり違うハウスメーカーにしておけば』なんて思ったこともない訳ではないが、少しずつ手を入れたり、インテリアを工夫したりして、住みやすいように少しずつ変えていった。今は愛着しかない。必ずしも第一印象がしっくりこなくても、自分で変えていけることもたくさんある。まぁピンとくるとかビビッとくるなんていう感覚だって大事なんだろうが、こういうケースもある。参考程度に聞いておきなさい」。

初めて耳にする話ばかりな上に、父が普段なら絶対に口にださないような話題だったので私も母もただただ驚くばかりだったけど、きっと私はきょうの父をこの先もずっと忘れないだろうな、と思った。

スミタス

さて、父の話を経てもう一度自分の考えを整理してみると、やっぱり私は3件めに見せてもらったあのマンションが良いな、と思った。築年数、利便性どれをとっても総合的に1番“悪くない”し、ご夫婦が大切にしてきた家だというのも私にとっては大切なキーワードだった。その後の生活もイメージしやすかったし、収納や日当たりなんかもバッチリ。

自分でも意外な感じもしたけれど、次に良いと思っているのが1件め。古くて、売主さんもなんだか不思議な人だったし、私が生活がするイメージは当初まるでわかなかったのだけれど、リフォームやリノベーションについて改めて調べてみると、自分好みに間取りを変えたり、と変えられる部分もたくさんあるみたい。定額制のリノベーションプランなどもあるから、当初の予定より膨大に予算がオーバーするということもなさそう。

マンションの購入費用自体を他の2件より抑えられる分、変更させたい部分にお金をかけられるから、自由度や色々な可能性が大きい気がする。

なんでもかんでも担当者さんに相談してしまう私。3択を2択にまで絞ったことを報告し、リノベーションについてももう少し詳しく教えてもらおう。そう思って携帯を取り出すと、着信履歴の頭に担当者さんの名前。さっそくリダイヤルしてみる。

担当者さんの用件は、バッドニュースだった。
3件めに見たマンションが成約されてしまったのだという。
でも確かに、あそこは人気がありそうな物件だったしな、とも思った。人気物件はタッチの差で購入できないケースも多々あるということは事前に教えてもらっていたので、すぐに決断できなかった以上、仕方がない。

…とすると、私のマイホームは1件めのあのマンションなんだ!

そうか、こういう縁というか運命みたいなものもあるのかもしれない。

「もう少し良い物件が出てくるのを待つという手もありますが、お仕事などのタイミングの問題もありますしね。それにリノベーションについてお考えなら、1件めのマンションはおっしゃる通り、予算的にも十分満足がいくようにできるのではないかと思いますよ。周辺の環境も気に入っていらしたようですし、利便性も抜群ですしね。中古でなければ、なかなかあのエリアでマイホームを持つのは難しいくらい人気のエリアですから」

こうしていろんな物事に背中を押され、私の“家”が決まった。(続く)

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