スミタス小説家を買う

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スミタス小説「おひとりさま、家を買う」(10)

スミタス小説「おひとりさま、家を買う」(10)

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中古住宅が売買されるまでには、いくつものストーリーがあります。売主家族、買主家族、不動産業者やリフォーム業者など、売買に関わる人たち全てに日々の生活があり、人生があり、考えも思いもさまざま。

そんな、家の売買にまつわる物語をお届けするシリーズ。
第2弾の主人公は、東京の独身OLで実家暮らしをしている30代半ばの“私”です。

周囲に流されて始めた婚活を辞め、自分のやりたいことをやると決めた“私”は、昔からの夢だった“カッコイイ”自分の家を持つことや憧れの北海道で暮らすこと、犬を飼うことetc…に思いを馳せ、夢の実現に向かって行動していきます。

様々な問題や悩み事にぶつかりながらも「札幌市内で中古マンションを購入してリフォームする」というアイディアにたどり着いた“私”。中古物件に強く建物診断やリフォームなどのサポートにも手厚い不動産関連企業と出会い、紹介された物件を内覧するために現地へ足を運びます。そこで3件の物件に出会った“私”は、三者三様のメリット・デメリット、リフォームを含めた予算、住まいと自分との縁などを考えながら、購入したい物件を絞り込んでいきます。

東京に戻り、第一希望のマンションがタッチの差で成約済になってしまったことを知った“私”。父のアドバイスもあり、築年数は古いけれど立地が良く、予算も最も希望に近い第二希望の物件こそが自分に縁のある物件なのではないかと感じ、購入を決意しますが…?

(第10回)リノベーションプラン

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「へぇ!意外だな。見た中で1番古くて、見た目がイマイチなんだったらまず先に候補から落としそうなのに」。

今日は久しぶりに札幌への出向を進言してくれた同期の友人とランチ。彼女とこうしてあたりまえのように誘い合ってご飯を食べることができる期間も、残り数カ月だ。
これまでの経過を報告し、ついに購入する家を決めたところまで一気に話し終えると、彼女は興味深そうに私を見つめて感想を語った。

「そうなの。傷んだところを修繕したり取り替えたりするリフォームじゃなくて、リノベーションっていうのをしようと思っていて。それだと基礎の部分以外はほとんど何もかも新しく変えることができるのね。建物の外観はどうしようもないけど、室内の設備や調度なんかの古さは全然気にしなしなくていいの。むしろ“変え甲斐”があって楽しそうでしょ」

「楽しそうだけど…でもその分、予算がすごくオーバーしたりしちゃうんじゃないの?結局新築を買った方が安い、みたいなことにならない?」

「そもそもこの辺りは新築物件自体ほとんどないし、新築だとしたらまずこの金額で購入するのは無理みたい。だからやっぱりこのエリアで家を買いたい、となると中古マンションがベターなのは間違いないし、リフォーム、リノベーションの予算を含めても十分お買い得なんだ。
でもそうそう、フルオーダーにすると、やっぱりどんどん予算が膨らんでしまうこともあるみたいね。そもそも費用のあれこれって何だか素人にはすごくわかりにくいしね…。それで私ね、このデザインが選べて“定額制”でリノベーションができるプランでお願いしようと思ってるのね」

タブレットを取り出し、プランが載っているページを開きながら説明する。

「へぇ、分かりやすくていいね。㎡あたりで計算するのね? それでこのテイストの中からデザインを選ぶんだ。全部おしゃれだね。なるほど、インテリアもお任せできるっていうのもいいね」
興味津々の様子で友人が画面をのぞきこむ。いくつかのデザインのパターンを見ながら、友人が何かに気づいた様子でニヤリと笑った。

「私、あなたがなぜこの会社に全てお願いしようと思ったのか分かった気がする。しかも、どのデザインにするのかも分かっちゃった。絶対コレ好きでしょう?」

「…分かっちゃった?」

私の好みを把握している彼女のことだから、すぐに分かるだろうと思った。
二人で画面を覗き込みながら、リノベーション後の住まいに思いを巡らせ、いつまでもお喋りは続いた。

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私が、選ぼうと思っているデザインは木をたくさん使った住まい。風や雨にさらされた自然そのままの質感と珪藻土を使った塗り壁。キッチンにはシンボルツリーになる丸太があり、窓際に一枚板のカウンターがある。

かつてぼんやりと「いつか北海道で自分の家を持ったら…」と想像していたそのままの家だと思った。小さい頃、兄や兄の友達が作って時々遊ばせてもらった森の中の秘密基地のような。
兄たちがたくさん宝物を並べていて、私も特別にビーズやビー玉の入った宝箱を置かせてもらったっけ。

サーフボードもそのままインテリアの一部みたいに並べよう。兄の子供たちが遊びにきたら、きっと気に入るだろうな。彼らの宝物も並べよう。

姪っ子や甥っ子たちの笑顔まで想像したところで、ふと間取りをどうしようか、と思い至った。

そんなにたくさん来客はないかもしれないけれど、姪っ子や甥っ子が来た時用に来客用の部屋があっても良いのかも。リビングは狭くなったとしても自分の寝室と別にもう一部屋増やして…。

もともとはせっかくリノベーションをして間取りごと変更できるのなら、1LDKを一部屋にしてしまっても良いかなとも思っていた。私ひとりで暮らすのなら広々とした1ルームも良いなぁと。事務所を兼ねていたというあのリビングはとても広いのだ。

さっそく相談だ! ここまで色んなことで悩んできたけれど、ここ最近のリノベーションにまつわる「どうしよう」は、悩む時間すらも楽しい。…とはいえ、税金のことだったり、こちらでの仕事の引き継ぎや向こうでの仕事のことだったり…確認しなければいけないことや、やらなければならないこと。そんなに楽しんでばかりもいられないけれど…。でも、“私の家”が完成する日を思うとやっぱりワクワクするのだった。(続く)

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