中古の私が売れるまで(4)

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スミタス小説「中古の私が売れるまで(4)」

スミタス小説「中古の私が売れるまで(4)」

中古住宅が売買されるまでには、いくつもの物語があります。売主、買主家族、不動産業者などの売買に関わる人たちには生活があり、人生があり、考えも思いもさまざま。

そして、もし“家”そのものにも感情があって思いがあるとしたら?
“家”はどんな思いで自分が売買されていくのを見つめているのでしょう。
そんな“家”の視点から見た中古住宅売買の物語第4弾。

家主の高齢化により、売りに出されることに決まった主人公の“家”こと私。数社が査定に訪れて価格を付けていったけれど、何だか私は納得できないまま。「どこも同じようなもの」と家主夫婦は割り切り、とある大手の不動産会社に売却の依頼をするために必要な手続きである「媒介契約」を結ぼうとしているようなのですが…。

(第4回)私、なんだかややこしい“媒介契約”に至る

「一番良いのはウチと“専任媒介”の契約を結んでいただくことですね」。
一通り媒介契約についての説明を終えると営業担当者はそう言い切った。

「はぁ…なるほど」
ご夫婦は担当者に何度も質問したり確認したりながら話を進めてはいたけれど、理解できたような、ちょっぴり腑に落ちないところもあるような雰囲気。

担当者によると、不動産売却をする際に不動産会社と締結する「媒介契約」には3種類あるのだそう。担当者が盛んに勧めている「専任媒介契約」のほかに「専属専任媒介契約」「一般媒介契約」というのがある。

そもそも媒介契約って一体何?というところから打ち合わせは始まったのだけれど、媒介契約というのは、“私”を売却するにあたって様々な取り決めをしておくことみたい。契約書には、売り出す価格、売主が希望している売却の条件のほか仲介手数料について、媒介契約の有効期間や不動産会社が実施するべき義務なんかが盛り込まれるそう。

「お勧めしてくださるからには“専任媒介契約”が良いんですかねぇ。でもなんだか3つの違いやメリット、デメッリトがよくわからないわ。特に“専属専任媒介”と“専任媒介”は何だかこんがらがるわね…」

奥さんは、老眼鏡を上げ下げしながら担当者が用意した資料を何度も読み返してそう呟いた。

「そうですね。奥様さすがです。“専属専任媒介”と“専任媒介”には、そう大きく違いはないのですが、もう一度それぞれについてご説明しますね」

さっきの説明があまりにもざっくりし過ぎていたと思ったのか、担当者はもう一度解説を始めた。

それによると、“専属専任媒介”と“専任媒介”の一番の大きな違いは、家主が自分で買主を探して取引ができるかどうか。専任の場合はできるけれど、専属の場合は完全に不動産業者にお任せっていうことになるみたい。

でも、やっぱりこの人、あんまり自分が勧めたい話のデメリットについては語らないのね。
「つまりですね、専任以上にしていただくと、我々の活動報告義務は2週間に1回以上とより手厚くなりますし、そもそもこちらのお宅は、すぐにでもご興味を持っていただけてご紹介できそうなお客様もうちにいらっしゃいますし…」

なんだかまた、だんだん話が逸れてきたみたい。本当にこの人に任せていいのかやっぱり私は不安…。そもそも“一般媒介契約”についてはほとんど説明がなかったけれど…。

なんだか押し切られる形で、結局“専任媒介契約”を結ぶことに決定した私の家主夫婦。

でも慎重派の奥さんは、その後もインターネットで自ら媒介契約について少し調べてみたみたい。

奥さんが調べてところによると3つには

大きく分けてこうした違いがあるみたい。
担当者の話し方では、いまひとつ足りてない情報もあったけれど専任以上の媒介契約が“手厚い”というのはどうやら本当といえば本当ということになるよう。

でもなんだか複数の会社と契約した方がより私の貰い手が早く見つかるような気もするのだけれど? でも手厚い分、一生懸命私の魅力を売り込んでくれる、ということにもなる?

とにかく、担当者には無事、私が売れるよう売却活動を頑張ってもらわなきゃね。

奥さんが以前から気にしていた「リフォーム」については結局何もアドバイスがないまま。担当者の口からは「現状引渡」というフレーズが何度も繰り返されていたけれど、つまり私って今のままでも十分魅力的ということ? それなら嬉しいけれど、いかせんアラフォーで見えないところでは劣化も進んでいる私。どうか良い貰い手が見つかりますように!
(続く)

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