中古の私が売れるまで(12)

FOLLOW US
HOUSE
#49
interior
2

スミタス小説「中古の私が売れるまで(12)」

スミタス小説「中古の私が売れるまで(12)」

中古住宅が売買されるまでには、いくつもの物語があります。売主、買主家族、不動産業者などの売買に関わる人たちには生活があり、人生があり、考えも思いもさまざま。

そして、もし“家”そのものにも感情があって思いがあるとしたら?
“家”はどんな思いで自分が売買されていくのを見つめているのでしょう。
そんな“家”の視点から見た中古住宅売買の物語第12弾。

家主の高齢化により、売りに出されることに決まった主人公の“家”こと私。
家主夫婦それぞれの考え方の違いや、不動産業者との齟齬、はじめは中々うまくいかなかった「売却活動」ですが、別の企業の不動産業者と出会ったことで、少しずつ風向きが変わります。

建物診断の結果をふまえ、劣化箇所などの修繕プランの作成が完了。“私”は無事「売り物=魅力的な商品」として生まれ変わることに。

家主夫婦は掃除に力を入れたり思い入れのある庭の手入れに励んだり、と家を魅力的に見せる努力に余念がありません。内覧希望者も増えはじめ、売却活動は上々。自分たちが大切に住んできた家を気に入ってくれる人が現れる日を心待ちにしていますが、果たして運命の「買主」は現れるのでしょうか?

(第12回)家は売るのも買うのも“一生に一度”

その日の午後、内覧にやって訪れたのは30代半ばのご夫婦。
奥さまの方はお腹が大きいみたい。

ここ最近訪れた人たちも、みんなじっくり“私”の隅々を見て回っていたけれど、
このご夫婦はさらにしっかり者のよう。

家に入る前から、周辺の様子や外壁や屋根の状態をチェック。
庭も気になっているみたい。
2人そろって一呼吸おくと、ドアのインターホンを鳴らした。

家主ご夫婦と私とはやっぱり長い付き合いだからなのか、感じ方や考え方も似ているのかもしれない。

若いご夫婦を迎え入れてあいさつを交わすと、奥さんはすぐに「感じの良い若いお2人だな」と思ったのがわかった。
ご主人も同じように感じているようで、これまでの数回に比べてあまり緊張していないみたい。

若いご夫婦は、
担当者にもご夫婦にも熱心に周辺の環境やリフォーム箇所などについて尋ね、自分たちが暮らしてからのイメージを組み立てているようだった。
「いくつか他の中古の物件もご覧になっているんですか?」
ふと、何気なく家主の奥さんが若いご夫婦に尋ねた。

「実は、こちらを見学する少し前に、別の不動産会社とのやりとりではあるのですが、契約寸前だったお家があったんです。でも直前になって知らされていなかった不備がわかったり、納得できないな、と感じることが多くて…」
キッチンを見回していた視線を止めて奥さんと向き合い、若い夫婦のご主人の方が答えた。

若いご夫婦の話によると、家を持つと決めた段階から理想のマイホームを理想のエリアと予算で見つけるため「中古物件を自分たちでリノベーションしよう」と決めて、家探しを始めたのだそう。

インターネットで情報を収集し、立地や間取り、予算すべてが概ねの希望に沿う物件があったので不動産会社を尋ねてみると、もらった資料にはインターネット以上の情報がなかった上、むしろ周辺の環境や家の状態は担当者よりもご夫婦の方が詳しいくらいだったのだとか。

それでも「これ以上探しても、理想的な条件の家は出てこない」という担当者のセールストークと「早く家を持ちたい」というご夫婦の思いから、慌ただしく内覧を済ませ、あれよあれよという間に契約の準備が進められていったそう。

「直前になって、過去に雨漏りが発生していたけど大きな修繕は行っていない事や、隣地との越境物がある家だということがわかってびっくりしました。給湯・暖房設備はあまりメンテナンスがされておらずほとんど総入れ替えしなければ長く暮らすことはとてもできそうにない、という感じで。直前まで何の説明もなかった上、1度内覧しただけでは、私たちには気づけないことだらけでした。ある程度は修繕のための予算を立てていたものの、これだと新築の方がかえって安上がりになるかもしれない、と」

若い奥様は笑いながら振り返った。

「そこに来てさらに築20年を超える木造住宅はローン減税の対象にならないことがわかり、耐震基準適合証明書か、かし保険の加入があれば減税を受けられるということを自分たちで調べた矢先、今度は隣接する私道との関係で将来建て替えをしたくても難しい物件だ、と。まさに踏んだり蹴ったりでした」

ご主人の方も、笑い話のように話しているけれど、相当大変な思いをしたんじゃないかしら。

家を売るのも買うのも一生に一度のことだもの。わからないことだらけで当然だし、だからといって失敗はできない。

この数ヶ月、家を売る側には、あれこれ考えたり決めたりしなきゃいけないことや、やるべきことがたくさんあることを学んだけれど、買う側も事前に確認しておかなきゃいけないことや、するべきことが盛りだくさんなのね。

今まで買主の気持ちをそこまでしっかり考えたことがなかったけれど、そう考えると改めて建物診断や劣化箇所などのリフォームプランの作成は、買主さんにとって安心を提供できることになるわけだから、とても良かったんだと思える。

人間でいうところの「婚活」と同じよね。表面的なことや紙の上での経歴だけでなく、本当に気に入られて長く付き合ってもらうには、「実態」と「中身」を知ってもらうことが肝心。その上でご縁があるかどうか。早く良いご縁があるといいのだけれど…。(続く)

RANKING

スミタス社員の素顔を大公開! ざっくばらん直撃インタビューの画像

スミタス社員の素顔を大公開! ざっくばらん直撃インタビュー【6】

スミタスの社員たちの素顔に迫るインタビューシリーズをスタートします!第6回は、営業4課のチームリーダー・平山香澄さん(30)にお話を伺いました。
スミタス社員の素顔を大公開! ざっくばらん直撃インタビューの画像

スミタス社員の素顔を大公開! ざっくばらん直撃インタビュー【5】

スミタスの社員たちの素顔に迫るインタビューシリーズをスタートします!第5回は、営業4課の原島大周さん(24)にお話を伺いました。
スミタス社員の素顔を大公開! ざっくばらん直撃インタビューの画像

スミタス社員の素顔を大公開! ざっくばらん直撃インタビュー【4】

スミタスの社員たちの素顔に迫るインタビューシリーズをスタートします!第4回は、営業4課の入谷裕樹さん(27)にお話を伺いました。

スミタス社員の素顔を大公開! ざっくばらん直撃インタビューの画像

スミタス社員の素顔を大公開! ざっくばらん直撃インタビュー【6】

スミタスの社員たちの素顔に迫るインタビューシリーズをスタートします!第6回は、営業4課のチームリーダー・平山香澄さん(30)にお話を伺いました。
スミタス小説「おひとりさま、家を買う」(4)の画像

スミタス小説「おひとりさま、家を買う」(4)

家の売買にまつわる物語をお届けするスミタス小説シリーズ。第2弾をスタートします。今回の主人公は独身OLの“私”。さっそく、彼女が理想の家を手に入れる(買う)までの道のりを見守っていきましょう。
スミタス小説「おひとりさま、家を買う」(3)の画像

スミタス小説「おひとりさま、家を買う」(3)

家の売買にまつわる物語をお届けするスミタス小説シリーズ。第2弾をスタートします。今回の主人公は独身OLの“私”。さっそく、彼女が理想の家を手に入れる(買う)までの道のりを見守っていきましょう。
スミタス社員の素顔を大公開! ざっくばらん直撃インタビューの画像

スミタス社員の素顔を大公開! ざっくばらん直撃インタビュー【5】

スミタスの社員たちの素顔に迫るインタビューシリーズをスタートします!第5回は、営業4課の原島大周さん(24)にお話を伺いました。
スミタス小説「おひとりさま、家を買う」(2)の画像

スミタス小説「おひとりさま、家を買う」(2)

家の売買にまつわる物語をお届けするスミタス小説シリーズ。第2弾をスタートします。今回の主人公は独身OLの“私”。さっそく、彼女が理想の家を手に入れる(買う)までの道のりを見守っていきましょう。