中古の家が売れるまで

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中古の私が売れるまで(13)

中古の私が売れるまで(13)

中古住宅が売買されるまでには、いくつもの物語があります。売主、買主家族、不動産業者などの売買に関わる人たちには生活があり、人生があり、考えも思いもさまざま。

そして、もし“家”そのものにも感情があって思いがあるとしたら?
“家”はどんな思いで自分が売買されていくのを見つめているのでしょう。
そんな“家”の視点から見た中古住宅売買の物語第13弾。

家主の高齢化により、売りに出されることに決まった主人公の“家”こと私。
建物診断の結果をふまえ、劣化箇所などの修繕プランの作成が完了。“私”は無事「売り物=魅力的な商品」として生まれ変わり、ようやく売却活動も軌道に乗ってきました。

数組の内覧希望者を迎えた後、家主夫婦と“私”はある若い夫婦と出会います。

家主夫婦とも波長が合い、“私”にも興味を持ってくれている様子の見学者夫婦。2人にはかつて、契約直前になって次から次へと出てきた問題のために、中古住宅の購入を断念した経緯があり…。

(第13回)“私”さらに生まれ変わる!?

1度、中古住宅の購入を契約寸前で断念した若いご夫婦が、そう日を空けずにまた内覧にやってきた。
不動産の担当者さんから聞いた話だと、若いご夫婦は建物診断結果の説明を聞いた時に少し不安な表情をしたみたいだけど、劣化箇所の修繕を売主がしてくれる事にとても安心してくれたみたい。その事が安心に繋がって前向きに検討してくれているとのこと。

前回はリビングやキッチン、バスなどの水周りを中心に見ていたけれど、今回は前回あまり見学に時間を取らなかった1階の客間や主寝室、2階の元子供部屋スペースやトイレなんかをじっくり見て回っているみたい。

若い夫婦に数ヶ月後誕生するお子さんのための部屋や生活のイメージをじっくり考えたいのだそう。

「うちは男の子2人と女の子1人だったので、男女で子供部屋を分けていたんですけれど、小さい頃は、息子たちの部屋の方に私と子供たち全員で寝て、娘の部屋の方をおもちゃを置く遊び場にしていた時もあったんですよ」
奥さんが、若い奥さんの大きなお腹を見つめながら懐かしそうに語る。

若いご夫婦は、大胆に2階の間取りを変えて、別の用途で使うことも考えている様子だったけれど、熱心にメモを取りつつ「やっぱり2階は子供部屋にした方が落ち着くかもね」「あの子たちの部屋はどうしようか?」と思いを巡らせているみたい。

“あの子たち”って? そのちょっと気になるフレーズは、奥さんも耳に入ったようで、すかさず尋ねる。

「何か飼っていらっしゃるの?」

「そうなんです!実は猫を3匹飼っていて、猫たちだけの“猫部屋”を作りたい、と。子供が赤ちゃんのうちは少し離れたところに猫部屋を用意しようと思うのですけど、どうするのが良いのかなぁって」

「そうだったんですか」
家主家族はペットを飼ったことがないから、なんとなく想定外だったみたい。

「一軒家という以外に、ペットを飼っている人たちのセールスポイントになるようなことも考えておけばよかったわ」
と奥さんがつぶやいた。

家を買うとき“決め手”になるものは家庭の事情でそれぞれだろうけれど、ペットも大切な家族だものね。動物を飼っている人は少なくないから、もしかしたら今までの内覧していった家族の中にも「ペットを飼うにはイマイチ…」と思われていたこともあったのかも。

数日後。「猫問題」はまだ未解決であるものの、いずれかの部屋を充てられそうなことや、間取りや庭の広さ、周辺環境が気に入ったこと、ゆくゆくはリノベーションもして自分たち好みに変える余地があることなどから、若いご夫婦は、ほぼ“私”を購入することを決意してくれたみたい。

購入の意思があることを示す「買付証明書」という書面を交わし、ここから先はローンの審査などを経て、宅地建物取引士から重要事項の説明を受けて…とまだまだ先にやることはあるものの、まずはようやく、私の“貰い手”となる人が決まったことに、家主夫婦はホッとした様子でここ数日を過ごしている。

「この庭ともこの椅子やテーブルとも、そしてあなたとももうお別れなのね」
奥さんが柱をなでながら、つぶやく。
どっしりとしてデザインは古めかしいけど、私が建ってからずっとこのダイニングに鎮座していたダイニングテーブルとチェア。私自身も彼らとはお別れになる。

“私”に置かれるインテリアは、いずれ若いご夫婦が依頼するコーディネーターがいろいろ見立ててくれて今っぽく一新されることになるみたい。

そして私にとっては初めての動物との暮らしが待っている。期待半分、不安半分。どうなることやら…(続く)

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