中古の家が売れるまで

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中古の私が売れるまで(14)

中古の私が売れるまで(14)

中古住宅が売買されるまでには、いくつもの物語があります。売主、買主家族、不動産業者などの売買に関わる人たちには生活があり、人生があり、考えも思いもさまざま。

そして、もし“家”そのものにも感情があって思いがあるとしたら?
“家”はどんな思いで自分が売買されていくのを見つめているのでしょう。
そんな“家”の視点から見た中古住宅売買の物語第14弾。

家主の高齢化により、売りに出されることに決まった主人公の“家”こと私。

建物診断の結果をふまえ、劣化箇所などの修繕プランの作成が完了。“私”は無事「売り物=魅力的な商品」として生まれ変わり、ようやく売却活動も軌道に。数組の内覧などを経て、出会った1組の年若いご夫婦と出会います。

かつて中古住宅の購入を断念したことがある若い夫婦は慎重に検討を進めながらも、“私”が建物診断を受けていることなどが決め手となり“私”の購入を決めます。購入の意思表示を示す「買付証明書」を交わし、もともとの家主夫婦が去る日も近づいてきました。

“私”は、リフォームしておしゃれなデザインに生まれ変われることや、新しくなるインテリアとの出会いにワクワクする気持ちがあるものの、猫を飼っているという若いご夫婦との暮らしへの少し不安や、家主夫婦との別れに寂しさを感じていて…。

(第14回)私の“重要事項”

この後もたくさんの必要なステップがあるとは聞いていたものの「買付証明書」を受け取ったことで、私の“貰い手”は決まったも同然、という気持ちが私にも家主夫婦もあったのだけれど、どうやらこの書面自体にはそこまでの拘束力がある訳ではないみたい。

とはいえ、書面には、購入希望価格や手付金について、契約希望日や引き渡し希望日などが書いてあり、確認した家主ご夫婦も「売渡承諾書」という書面をお渡ししている。順調に契約までのステップを上ってはいるのだけれど。

「購入の意思を示す書面ということだから、“仮契約”のようなものだと思っていたけれど、いつでもキャンセルもできるということだったわね。やっぱり私たちのように仮契約のようなものだと思ってトラブルになったりすることもあるみたいよ」
奥さんがパソコンのモニターを見ながらご主人に伝える。

「説明を1度聞いただけでは、そう思い込む人もいるかもしれないし、そういう説明を省く担当者もいるのかもしれないな。本契約に至るまでには私たち売主の方もまだまだ勉強しなきゃならないことがたくさん出てきそうだな」

不動産売買に関する言葉は、ほとんどが初めて出合うものばかりなので、家主夫婦は、そのたびにじっくり調べる習慣が身についたみたい。“私”を売りに出すと決まる前までは、ほとんど明るくなることのなかったパソコンの画面。一連の売却活動期間中に、すっかり頼もしい相棒になっている。

若いご夫婦の住宅ローン審査が無事に通り、いよいよ最終的な意思確認の連絡が来た。いよいよ、“契約”ということになるみたい!

不動産業者選びや知識不足から、ともに以前に1度、苦い経験をしている売主夫婦と買主夫婦。
契約と同日に行われることも多く、その場でさっと目を通すだけになってしまうことも多いという「重要事項説明書」は、事前に書面を用意してもらい、お互いにきちんと目を通した上で当日重要事項説明を受ける、ということになった。この書面には、私のいわば“個人情報”が満載。契約の条件はもちろん、私に関する詳細な情報が記載されている

宅地建物取引士の記名押印、説明が義務づけられているという分厚いこの書面を、当日にささっと読み合せて「重要事項を説明しました」ということにしている不動産会社も少なくはないそう。

こんなに大切なことをなぜ適当にするの?と、思うけれど、担当者もそれぞれに忙しいし、それがずっと日本では慣習になっているそうよ。契約後にトラブルが発生してしまうのは、この時にきちんとお互いに確認ができていなかった、ということも少なくないみたい。

数日後、家主夫婦は契約のため、不動産会社へと出かけていった。引き渡しの日も正確に決定するだろうし、いよいよ本当にお別れの時が近づいている。(続く)

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